2012年度 社団法人釧路青年会議所

理事長方針

理事長 村上 祐二

はじめに

「明るい豊かな社会」とはどのような社会なのでしょうか?
 青年会議所の理想は「明るい豊かな社会」の実現であることは私たち会員にとって周知の事実でありますが、青年会議所を対外的に伝えるにあたって何の疑問もなく使われている事も事実であります。果たしてどのような社会が「明るい豊かな社会」なのでしょうか?
 戦後の荒廃から高度経済成長を遂げ、物質的豊かさではないところに豊かさを追い求める現在まで、「明るい豊かな社会」の捉え方は人それぞれ様々なのかも知れませんが、私は「明るい豊かな社会」とは、その時々で変わるのではなく、あくまで普遍であり続けるのだと考えております。それは、今日の自己犠牲をいとわず、未来に思いを馳せ、未来へ理想を掲げ、未来のために行動する人々の集合体が「明るい豊かな社会」だと私は信じます。

紡がれる歴史

 社)1952年、荒廃したまちを憂うチャーターメンバー27名の地域発展への使命感で創立された(社)釧路青年会議所は、その明るい豊かな社会に向かい計り知れないほどの情熱と、次代の担い手として強い責任感で歴史を紡いできたものと考えます。
 創立60周年を迎える本年度、私たちはこれまで連綿と受け継がれてきた秩序ある組織を守り、それぞれが係として1年間が無事終わることに目的を置くのではなく、来年度に繋げるために1年間を全うしなければなりません。また組織の5年後10年後を見据え、(社)釧路青年会議所の活動理念と、地域に対する運動の明確化をより図らなくてはなりません。そして節目となるこの年に創始の精神と、地域と共に歩んだ歴史を学び活動に反映させていきましょう。私たちは60年という歴史を地域と共に築いて頂いた先輩諸氏に対し、未来へ向けて行動することでしか感謝の気持ちを伝えることは出来ないのです。情熱と責任感を持って未来へ繋げましょう。

釧路JCの存在意義

 (社)釧路青年会議所が地域に認められる存在でありたいと強く願っております。地域から認められなければ私たちは存在意義を失いかねません。
 では、地域が認める青年会議所とは一体どんな青年会議所なのでしょうか?
「広く一般市民に・・・」何度となく使われたセリフですが、決まって市民の姿はそう多くはありません。そこには人数的に少ない場合と、本来対象となるべき参加者が埋もれて気付かない場合があります。地域に認められる青年会議所であるためには対象を明確にすることが重要であり、そこからの事業構築が求められているのです。
 また、事業構築だけに気を取られ肝心な伝える努力を怠ると、どれほど素晴らしい運動を行っても目的を達成出来ないだけではなく議論が内向きに進み、活動の幅を妨げる事になりかねません。効果的に媒体を利用した運動の発信まで考えて取り組んでいきましょう。
 そして、私たちは、「まちづくり」の中で「修練」「奉仕」「友情」を行う団体でなければならないと考えます。これは「ひとづくり」を蔑ろにしているのではなく、何を目指す中で「ひとづくり」を行うのかが重要であり、社会を支えて行かなければならない私たちの世代にとって「ひとづくり」が重要であれば、なおのこと「まちづくり」の中で修養しなくてはならないと考えます。

組織と運営

 組織の運営が適切になされているから私たちは険しい道のりを進むことが出来るのです。「LOMの要」である担当委員会が日々地道な作業を重ねるその道のりこそ長く険しい事を忘れてはなりません。その歩みが円滑に進むか否かは組織全体の責任であり、皆で支え合わなければならないのです。
 また、会員が互いに労をねぎらい、励まし合うことのできない組織に活力が生まれることはないでしょう。利他の精神が組織をより強固なものとし、地域発展へ向けた活動を支える「LOMの更なる推進力」となるのです。
 そして、組織が利他の精神のもと円滑に運営され地域社会に対し運動し続けるには、次々と新しい青年がこの団体を担って行かなくてはなりません。前述のとおり1年間が無事終わることに目的を置くのではなく、翌年、5年後10年後に繋げる事にその年の活動の意味があると考えなくてはなりません。
 この地域の未来を創るその歩みを止めることのないよう共に活動する多くの青年に会い、(社)釧路青年会議所を伝えること、それが私たちのもっとも重要な使命なのです。

組織と自己研鑚

 未来を担う青年経済人として私たちは自己研鑚を怠ることはできません。私たちが展開する運動の魅力が色褪せぬよう日々の活動を通し、個人の資質を高め地域社会に寄与し続けることが必要です。
 (社)釧路青年会議所に連綿と受け継がれる組織の中で人が人を磨き、互いを向上させる仕組みは、これまで多くのリーダーを作り上げた最たるものであると考えます。この仕組みにはリーダーシップとフォロワーシップの双方の係が存在することで初めて成立するものです。私たちの組織と日々の活動を見つめ直して頂きたい。新入会員という係に始まり各委員会での役割や役職があり、そこには実践をするための確かなフィールドが広がっているのです。
 また、私たちの組織は存在そのもの自体に価値があるのではなく、私たちが地域に対して行う運動の成果に価値があり、組織が目的ではなく組織は手段である事を認識し活動に反映させなければなりません。
 そして、私たち会員はもとより企業がマネジメントを修養し組織活動の成果を向上させるため、地域に対し運動を展開していきましょう。

地域の未来を創る環境

 2011年3月11日、想像を絶するほどの巨大な地震が多くの尊い命を奪い、日本全体を深い悲しみと大きな不安で覆い尽し、今もなおその被害は終息することなく拡大し続けております。私たちはこの現実を乗り越えなくてはならない大きな試練と捉え、震災から多くを学び未来を創る行動を起こさなければなりません。
 これまで安全と言われていた神話の多くがもろくも崩れ去り、国民の生活のみならず国家としての行く末が危ぶまれている中、企業活動を支え国民の生活を守るエネルギーに対する考え方を根底から見直す事が求められています。私たちの地域は電力が豊富だから関係の無い問題だと済まされることではありません。単純にこの国から原子力発電が無くなる事で国家と国民の生活に与える影響とはいかなるものでしょうか。問題の本質を見極めエネルギーに対して関心を持った国民の世論がなければ、国家のエネルギー政策は再び道を誤る可能性を秘めているのです。
 先ずは地域住民がエネルギー問題を考えるにあたって重要となる確かな知識を持って頂く運動が必要になります。
 また、市民生活や企業活動においては省エネルギーや持続可能なエネルギーを利用することが求められている今、未来へ向けて実践できる事を見極め、その歩みを踏み出す機運を高めることと、省エネルギーと持続可能なエネルギーを活用したまちのかたちを、くしろが誇る自然環境の保全へ結び付け環境と経済が循環する環境都市くしろを創造しましょう。

地域の未来を創る人

 経済不況が及ぼす影響は今日の生活のみならず未来へも暗い影を落としているのです。次代を担い社会へ羽ばたこうとしている若者にもその影響が顕著に表れ、安定志向が強まる中、景気動向の影響を受けにくいとされる大企業を抑え、公務員が就職先の1位に選ばれる現実は、現代社会を反映していると共に私たちが展開しなければならない運動の対象を映し出しているのです。
 情報が氾濫する現代社会の中で、若者は秘めた可能性と社会の様々な仕組みを生かす機会を見つけにくい環境にいるのでしょう。若者が夢を持ち幾多の困難に立ち向かい未来を切り拓いていくことが地域社会を創るのです。
 近年、既成概念にとらわれない考え方が出来る創造性と判断力、そして実行するための精神や決断力など、起業家が持つ資質や精神を育む「起業家教育」が注目され一部では盛んに行われております。残念ながらこの地域においてその取組みが普及されているとは言えません。起業家教育の基となる起業家精神とは、起業を目指す人だけではなく企業に属する人全般に効果をもたらすものであり、社会が求めている「人」そのものだと考えます。
 希望を持った多くの若者が社会の荒波を乗り越える精神を養うため、自ら学び自ら考え自ら行動する力を育む運動を展開しましょう。

国の未来を創る人

 自分たちの暮らす地域の問題に関心はあっても、日本が国家として抱える問題はまるで他人事。私たちが関心を持ったところで何も変わらないとの考えがそうさせているのでしょうか。私たちは地域の発展を願い様々な活動に取り組む上で、地域の集合体が国家を形成する事を忘れてはならないのです。地域の事だけしか考えられない活動や運動にどれほど夢中になったところで、その集合体から国家は形成されず、国民世論も確かなものにはならないでしょう。
 国民の安全な生活を保障し、日本の未来を担保する領有権を他国が主張し、主権が危機的状況にある中でも国家が抱える問題について議論することが依然好まれません。先の大戦で想像を絶する深い悲しみと耐えがたい屈辱を受け、戦争を起こした日本がすべて悪く、二度とそうはならないとの気持が、本来関係の無いところにまで影響を及ぼしている事にその原因があるのではないでしょうか。悲惨な戦争を二度と起こさないために歴史の事実に蓋をするのではなく、私たちは未来へ歩むために歴史を知らなければならないのです。
 歴史を知るにあたり日本国内の視点からだけで見るのではなく、近隣諸国と欧米列強がいかなる状況にあったのか、その当時の国際情勢に照らし合わせなければ真実を知ることは出来ないものと考えます。そして何より大切なのは、その歴史が現在にどのような影響を与えているのかを見極めなくてはなりません。自分の考えを守るためではなく、どの思想に傾倒するかでもなく、いつから始まり、何が正しく、何が悪かったのかを知り、その上で今日本が置かれている状況に多くの議論を重ね、これからの日本のかたちを創っていかなければなりません。この国の歴史を知り国家の問題を避けることなく国民が掲げる理想と行動が未来を創るのです。
 戦争が招いた悲劇を二度と繰り返さぬよう間違ったことには否と言える日本でありたい。

終りに

 限りあるJC活動に真剣に取り組んで頂きたいと願っております。なぜJCをやっているのか、なぜその事業に参加しているのか、なぜJCに多大な時間を費やしているのか、常に自問自答を繰り返す時が大切です。きっと気づくはずです、JCは何もしてやくれないことを。自分が目標を立てそこへ向かう中でJCを存在させた時、真摯な態度でJCに向き合えるのでしょう。
 今日の自己犠牲をいとわず、未来に思いを馳せ、未来へ理想を掲げ、未来のために行動する人々の集合体「明るい豊かな社会」の実現を目指すために。
 60年の歴史へ感謝の気持ちを行動に移し、長く険しい活動を成し遂げた先にある次へ挑戦する勇気がこの歴史を紡いでいくのです。